2016/05/03 15:54

4/14 わたしの家族である猫のもちおは命の山場をむかえていました。 今夜はきっと一睡もせず、この命をみとどけようと考えて猫の隣にいました。 そして、ご飯を無理やり食べたりめそめそ泣いたりケーキを食べたりしていたそのとき、地震が起こりました。 いま書いているこの日になってようやくあれは地震だったと言えるだけで、その瞬間は世界が終わったかと思うくらい底抜けの揺れで、はたして自分がいまどうなっているのかさえわかってはいませんでした。 我が家は築40年ほどの木造二階建て。 揺れの間は停電し、警報が鳴り響き、そして暗闇の中に静寂が戻りました。 その瞬間、我が家の三人は全員それぞれの貴重品を全力で持ち出し、猫を抱え、わたしの唯一の財産であるキャンプ道具を引っ張り出してちいさなジムニーの荷台に放り込みました。 完全に危篤だったはずの猫はなんと地震のさなか自力でベッドの下に走って逃げていたので、猫も引っ張り出します。 揺れはその後もずっと続き、 家の周りは瓦がおち、塀が倒れ、道路が隆起して水道管は割れました。 もう、いつもの毎日に戻れないのだと、三人で思い、黙って、生きていてよかったと伝えあいました。 わたしはいま、一時的に東京の実家にきています。 熊本から東京までの、二週間にも及ぶ旅を共にして、いつもわたしたちのことを見ていた猫は、先日最後まで生ききって、そしてなくなりました。 わたしたちの熊本の家は、立っています。 しかし、あらゆる面からみて、すぐにまたここに住めるね!とは思えない状態です。 すぐに住めないとなると、わたしは家の一部を工房にしていたため、焼き菓子を家で作ることができません。 いま、都内に来てみて、溢れるものの中から、じぶんの好みに合う材料を探し出せずにいる事を思うと、 熊本の豊かさを感じずにはいられない日々です。 それと同時に、豊かな自然は人間の手中におさめるようなものではないとも思いました。 熊本では田んぼや畑もやっています。 夏の野菜の苗を庭で育てています。 本来ならいまごろ、田んぼの支度をはじめてあたふたしているころでしょう。 きっとまた、そうゆう風に暮らしていけると願って、いまはこれからを少しだけ考えています。 近々、またあたらしくお知らせできればと思うのですが、とにかく すこしだけ先のこと を考え始めています。 おだやかに発酵を待つ時間がまた、やってくるように今はひたすらやることをやるのみです。 またみなさんに焼菓子をお届けできるように頑張ります。 いましばらく、お待ちいただければと思います。 長くなりましたが、 わたしたちは無事です。 みなさまからいただいたメールになかなかお返事できず、こちらでお返事のかわりとさせてください。 daitie もりたみき